「寿司文化継承」の思いが凝縮された店
SUSHI KOTO
今でも思い出すのは、オレンジ郡でどこかランチに行く時には必ずと言っていいほど「空港の近くの古都にしよう」という結論にたどり着いていたことだ。今、その古都は場所を以前のジョン・ウェイン空港のそばからファウンテンバレーに移し、当時責任者を務めていた松木保雄さんがオーナーシェフとなって、変わらずに盛業中だ。
最初の古都は、日本の寿司店、築地玉寿司の経営だった。アメリカ出店に伴い、経営を任された松木さんは1991年1月に渡米。古都は1992年2月にはグランドオープンを迎えた。日本庭園を備えた堂々とした店構え。本格的な和食と寿司が楽しめる店として徐々に知られるようになった。
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松木さんはこの道46年。もともとは社会人野球の選手でピッチャーだった。22歳で肘を故障して野球人生を断念。寿司職人への転身を知り合いに勧められ、修行を始めた。さらに「一流の職人になるには銀座」の言葉を胸に、玉寿司に入社し、銀座店を任されるまでになった。「銀座店時代は日本のバブルの時期でした。銀座の売り上げはウナギのぼり。玉寿司の銀座店も深夜もずっと営業してお客さんを迎えていました」。そしてアメリカ出店時に白羽の矢が立った。
古都の人気の秘密は松木さんの長年の寿司職人の経験を生かして、最高品質の料理を出し続けていることだ。日曜には65歳以上のシニアには割引料金が適用されるサンデーブランチ($32.00、シニア$28.00、12歳以下$20、3歳以下無料)も人気を集めている。各種の海鮮丼やちらし寿司は見て美しく、食べて美味しく、さらに非常にリーズナブルな料金に抑えられている点が良心的。築地から直接仕入れている食材が多く、ローカルで調達するよりも3倍のコストがかかっているそうだ。それでも食材に妥協することはない。古都の料理には、日本食継承のために渡米し、そしてアメリカに留まった松木オーナーの真摯な姿勢が凝縮されている。
(取材時期 2017年8月)
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