アメリカには夢が転がっている
アーティスト セバスチャン増田さん

20年後の自分に宛てた手紙

 世界各地で「タイム・アフター・タイム・カプセル・アートプロジェクト(以下タイムカプセルプロジェクト)」と銘打ったプロジェクトを展開しているアーティストのセバスチャン増田さん。増田さんと言えば、ポップでビビッドな色彩のアート作品で知られる「カワイイ文化」のカリスマ的存在だ。

 その増田さんが、2017年1月頭、ロサンゼルスを訪れ、NHKワールド主催の「ジャパニーズカルチャーウィーク・イン・LA」に参加、ロサンゼルス市内の2カ所で、一般向けの様々なイベントを開催した。

 1月7日、ダウンタウンに近い公園、エコーパークで行われたのは、過去にニューヨーク、パリやロンドンでも開催してきたタイムカプセルプロジェクト。参加者は紙に「20年後の自分に宛てたメッセージ」を書き込み、カラーペンやシール、リボン、毛糸を使って紙をデコレートし、ラップしてタイムカプセルに投入する。この日は公園にやってきた親子連れや若者が続々と参加。増田さんは彼らに気軽に話しかけながら、各自の作品とも言えるメッセージ作りを見守った。

 イベント終了後に同プロジェクトの経緯について話を聞いた。「ニューヨークの国連ビルの前に、大きなキティのタイムカプセルを作ったのが大変好評で、その後も続けたいと思っていたけれども資金的な問題がありました。そんな時にNHKさんからドキュメンタリー番組制作で密着するという条件で、どーもくん型のタイムカプセルにして続けないか、というお話をいただき、今に至ります。これまでは日本文化関連のフェスの会場でやることが多かったんですね。でも、日本の文化をわかっている人が来る場所ではなく、日本のことも僕のことも知らない人にも、このワークショップを体験してほしいという気持ちがありました。そこで、ロサンゼルスではこうした公共の場でやらせていただくことになりました」

…………中略

 「66歳か。どうなのかなあ。まずは2020年の東京オリンピックに向けて走り続けている状態です。原宿のカワイイというカルチャーをオリンピックまでにアピールして、日本のクリエイティビティを発信し続けます。オリンピックが終わったら、それまでの返りがあると思うのですが、ペースは落として、見る人の心に突き刺さるような作品を丁寧に作っていきたいというのが希望です。それから60歳以降は、カプセルの中身を開けて皆さんに戻していくので、それも楽しみですね」

 最後に生っ粋の日本人なのに、なぜセバスチャンなのかを聞いてみた。「20歳の頃に役者もやってみないかと言われ、適当につけた名前です。適当と言っても、今のようなスマホのアプリではなく、ゲームセンターで100円入れて情報を打ち込むとニックネームをつけてくれる機械があって、それで僕の場合、セバスチャンかゴンザレスがいいって出たんです。そのニックネームだと幸運を呼んでくれるということでした。その時にセバスチャンを選んで、ずっとこの名前です。外国の人も呼びやすいし、今思えば確かに幸運を呼んでくれましたね(笑)」
(取材時期 2017年1月)

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