リソースリバイバル創業者
『グレアム・バーグ』
廃品自転車が独創的プロダクトに
オレゴン州の港町ポートランドから、強風のあおりを受けて波しぶきをあげるコロンビア川に沿って、160kmほどロッキー山脈の方面に向かうと、山と川と霧氷を纏ったさくらんぼの木々以外に何もないモジエール村がある。
雪深い山道を進むと、10万エーカーの広大な敷地に「リソースリバイバル」の看板がかかった工房が見えてくる。ここが、壊れて使えなくなった自転車から、思いだげないデザインを生み出すという発想で、売れないロックミュージシャンから一躍成功者の仲間入りをした、グレアム・バーグの城である。
「ある日、自分の乗っていた自転車がパンクしたことがあってね。その時に気がついたんだ。このチューブで何か作れるんじゃないかって」
そのひらめきから3年間、試行錯誤の結果、チューブからストラップやサスペンダーを生み出すことに成功。その後、ネットを通じて、デザイナーを集め、現在ではタイヤのチューブからギヤやチェーンへと、使う素材も広がっている。
(中略)
「自然界ではすべての廃棄物は他の動植物の食料になるべく転換される。製造業においても、同じ原理が応用でいるはずだと私は思う。転換が効かないモノを作り出してはならない」
2年前、ポートランドにあったリソースリバイバルの本社を、モジエール村には移転させたのにはわけがある。再生可能エネルギーを使用した自家発電設備をつくり、オーガニック野菜の農園を建設するつもりなのだ。
「自然に恵まれたこの土地で、息子とできるだけ濃密な時間を過ごすこと」。それが、彼の夢である。
(取材時期 2006年)